会長だより ㊲ 蔦重の語り部(書の巻)

(2025年3月8日)

蔦重の語り部(書の巻)

緑友会長 川本正人(普通科21期)

NHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公、「蔦重」こと蔦屋重三郎。日本文化を代表する浮世絵師や戯作者らを次々と世に出した江戸時代の敏腕プロデューサーです。
その蔦重を、7冊立て続けの著書発刊で現代にプロデュースした車浮代さん(普通科26期)。短期間に、しかも一作ずつ異なる切り口で書き分けました。
尋常ではない筆力、企画力、知識量に圧倒されながら、さわりだけ紹介します。
独断の読み込み、平にご容赦。

【小説】(2冊)

『蔦重の教え』
(飛鳥新社2014年2月、双葉文庫21年3月)

小説デビュー作。私にとっても、今年の大河ドラマが「蔦重」と知った昨秋、「誰?それ?」と最初に手にした蔦重本です。55歳で依願退職を強要された広告代理店営業マンが、稲荷神社で立ちションをしたばかりにタイムスリップ、江戸の中期、1785年の遊郭・吉原で蔦重に拾われ、人生の極意を学んでいくーーという物語。「実用エンタメ小説」という裏表紙の見慣れないコピーにもひかれました。

<本書の特長その1> 読みやすい評伝であること。空想物語でありながら、蔦重の業績、登場人物、時代背景など骨組みはホンマもんです。
原作なし、脚本家オリジナルの大河ドラマと見比べると楽しさ倍増。例えば蔦重を世に出したガイド本「吉原細見(さいけん)」。男色家で知られた万能の天才・平賀源内が序文を書いて世間を驚かせました。男色の源内がなぜ女色の街に肩入れを?
ドラマ(第2回)では、小芝風花さん演じる花魁(おいらん)が源内の愛した歌舞伎の女形に扮(ふん)して心を開く、というナゾ解き。
一方、浮代さんの作品でも源内と花魁の深い仲がカギになります。
けれどそれを書くとラストのネタバレ。結末は本書でお確かめください。

<特長その2> 江戸の人々や街を活写。長年の江戸文化研究が生きています。個人的には、混浴銭湯・湯屋のくだりに「へ~ぇ!」でした。

<その3、最大の特長> 蔦重のセリフが格言・警句になっていること。思わず線を引いてしまいます。巻末には「教え」のまとめ付き。自己啓発書に挙がるはずです。
叱咤(しった)激励の教訓が多い中、冷徹さにドキッとする場面も。例えば「人生ってのは知恵比べだ。考え抜いた方が勝つ。知恵を絞った奴に騙(だま)されたんなら、引っかかった方が負けなんだよ」というセリフ。悔しければ「騙し返す」「用心する」「笑い飛ばす」という処方せんの選択肢付きです。
大国の横暴が目に余る今の国際社会に当てはめるとしたら、さて……。

『蔦重の矜持(きょうじ)』
(双葉社2025年1月)

『教え』の続編です。55歳の時空超えから20年。現代に戻りフランスで日本食堂を開いて成功した主人公が、近未来(2034年?)から1794年(江戸を離れて約8年後)に孫を連れてタイムスリップ。すでに人々の行く末や作品群の価値を熟知している主人公。蔦重らを待つ悲運を何とか回避できないかと試みます。

質素倹約を掲げる「寛政の改革」で色の数や題材を制約してくる幕府と、蔦重・作家連合軍との攻防戦。描かれるのは、蔦重らの意気込みの背景、創作のヒント、役者絵などを大量に描いて10か月で消えた東洲斎写楽の正体、といった作品・作家のナゾ解きの比重が大です。
フィクションなのに「せやったかも」と思わせるのは浮世絵専門家のなせる技。ちりばめた昨今の世相や映画の感想、食材やお店情報などは、浮代さん自身の声なのでしょう。
コロナ禍やAIといった「現代」も展開に関わってきますが、これまたネタバレ。本書でご確認ください。

【知る・見る・味わう】(3冊)

『蔦屋重三郎と江戸の文化を作った13人』(PHP文庫2024年8月)

史実に基づいたリアルな時代と人模様。ものすごくわかりやすいです。江戸時代のあれこれを現代風に置き換え、蔦重を「縛りが多いと燃えるタイプ」、郊外に移転した吉原を「ちょっと遠いけれど、わざわざ行く価値のあるアミューズメントスポット」と表現。田んぼに突然できたその不夜城を「千葉県にある東京ディズニーランド」「砂漠の真ん中にそびえ建つラスベガス」に例えたりもしています。

PHPは松下幸之助が「企業の知の拠点」を目指して創業した出版社。文庫はノンフィクションが中心です。そこに加わるだけあって、軟らかい文章ながら中身は硬派。
ドラマのガイド本として私のイチオシです。

『Art of 蔦重』
(笠間書院2025年1月)

蔦重がそれぞれの時期に出した浮世絵などのカラー作品集。鑑賞のポイントだけでなく、当時の世相や流行などを織り込み、蔦重の人材発掘や売り込みの戦略までビジュアルに理解できるぜいたくなつくりです。
見て楽しむならこれをどうぞ。

『居酒屋蔦重』
(オレンジページ2025年1月)

江戸料理研究家兼小説家の遊び心が生んだ「江戸レシピ&短編小説」集。蔦重が空想の居酒屋に浮世絵師や戯作者らを招き、才能の発掘、引き抜き、口説き、励ましをしていきます。順に招かれた客は計11人。それぞれに合わせた〝おもてなし〟のお品書き通りの写真に作り方まで添えたおいしい一品です。
「読んで作って食べて呑(の)む!」。
こんな蔦重本、誰にも書けません。

……と、ここまでで5冊。
残る2冊には、蔦重からの「メッセージ」が詰まっています。

浮代さんからのそれと合わせ、次回は「言葉の巻」。
体育祭など高校時代のお話もたっぷり入れます。

 

事務局日誌 2025年3月5日(水)◆合格発表の準備 

◆合格発表の準備
21日に行われる合格発表の準備作業をしました。なんで緑友会がって? その日午後からの合格者説明会で保護者に配られる書類の中に、緑友会からの「在校生支援金のお願い」や「会報」を同封してもらうためです。
緑友会は今や、同窓会だけでなく後援会の役割も担っています。そんな緑友会のこと、新入生たちに知ってもらえたらいいな。(くりべ)

◆吹奏楽部
事務局は緑友会館3階にあり、隣の広間ではいつも吹奏楽部が練習しています。9日(日)に芸能文化棟ホールで開く第48回定期演奏会を目前に、今日も仕上げににぎやかです。パンチの効いた曲、心和む曲。バラエティーに富んだ選曲で、当日が楽しみ。
練習のあとは、当日案内の書き物などお客様を迎える準備にも余念がありません。4月にはたくさんの新入部員が加わるといいですね。(しばたに)

◆12日(水)は事務局休み
事務局には毎週水曜日にスタッフが詰めていますが、来週12日は入学試験があるため閉局します。ご用件はメールでお願いします。

 

会長だより ㊱ 蔦重の語り部(人の巻)

(2025年3月1日)

蔦重の語り部(人の巻)

緑友会長 川本正人(普通科21期)

書名に「蔦重」と冠した7冊。同じ著者で同じ主人公、なのに一作ごとに異なる趣向、しかも6冊はこの半年余りの新刊です。今年のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺(ばなし)〜」の放映を機に、これまで有名とは言えなかった快男児・蔦屋重三郎の全てを知ってもらいたいという〝べらぼう〟な気迫が、積み上げた本から立ち上ってきます。
手がけたのは車浮代さん。本校の普通科26期生です。母校の創立70周年に、卒業生がライフワークで花を添えてくれたよう。
浮代さんの、人、作品、メッセージを3回にわたって紹介します。

衣食住とも「江戸」が似合う車浮代さん
(2024年に開いた「うきよの台所」で)

喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎といえば世界に知られた浮世絵師。戯作者の曲亭馬琴は『南総里見八犬伝』、十返舎一九は『東海道中膝栗毛』でおなじみです。
彼らの才能を見出し、育て、世に出る道筋を付けたのが「蔦重」こと蔦屋重三郎(1750~1797年)。江戸中期から後期にかけて、出版社兼書店である版元として活躍し、日本のメディア産業やポップカルチャー(大衆文化)の礎を築きました。
幕府公認の遊郭「吉原」で生を受け、両親に置き去られたその街で、知恵と汗を絞って面白さを追求、お上に目を付けられても痛快に乗り切って行く。
そんな波瀾万丈の物語は、ドラマで主演の横浜流星さんにたっぷり見せてもらうとして、ここではまず、蔦重を生き生きと現代によみがえらせた浮代さんの「夢噺」から。

著者プロフィール風にまとめると……。

時代小説家、江戸料理文化研究家。大阪芸術大デザイン学科卒後、東洋紙業のアートディレクター、セイコーエプソンのデザイナーを経て、映画監督新藤兼人にシナリオを学ぶ。一方で江戸時代の料理を研究し、1200種類以上を再現。2024年春、江戸風キッチンスタジオ「うきよの台所」をオープン。著書多数。NHK「チコちゃんに叱られる!」などテレビ・ラジオ出演多数。江戸料理の動画配信も行っている……。

これを、浮代さんから電話でお聞きした話や、雑誌などで明かされたエピソードで肉付けすると……。

国語と美術が得意な少女で、アートディレクターやコピーライターといったカタカナ職業に憧れて芸大に進学。ガールズバンドを組み、カーリーヘアに網タイツ姿でベースを担当。大阪で就職後も続けていたが、やがて解散。
心に穴が開いていた時に、あべの近鉄百貨店で見たのが浮世絵版画の実演。仕事で訪れたその催しで、彫師(ほりし)や摺師(すりし)の超絶技法、粋な江戸弁、出版社兼書店の版元システムなどに感銘を受け、浮世絵と江戸時代、そして「蔦重」にのめり込んで、やがて講演を頼まれるまでに。
一方、結婚を機に移り住んだ長野県松本市で夫や親せきから習ったのが郷土料理。塩、味噌、しょうゆが調味料、干したり漬けたり発酵させたりが保存法。これがのちの江戸料理研究につながっていく……。

こうした仕込みの季節を経て、いよいよ夢の幕が上がり始めます。

40歳を過ぎて本気で目指したのは、猛勉強した江戸文化の知識を生かせる時代小説家。構成力を磨くため通信教育でシナリオを学び、その後月2回上京して新藤監督に師事、シナリオ作家協会の大賞を受賞しました。これを機に単身上京。ガイド本『大江戸散歩道』を準備中だった作家・エッセイストの柘(つげ)いつかさんに出会い、アシスタントに。
「江戸料理のレシピ本を書いてみたら?」と勧めたのはそのいつかさん。老若男女が楽しめる「食」、けれど書ける人の少ない「江戸料理」に的を絞ってはどうかというのです。プロの料理人でもないのにまさかのジャンル。けれど、江戸料理のベースは松本で覚えた郷土料理と同じ。何とかなるかも。
2010年、狙い通りの本を上梓。浮世絵の「浮世」を女性名にアレンジしたペンネーム「車浮代」は、江戸料理研究家として知られていきました。

いつかさんによる浮代さん改造計画も待ったなし。「江戸文化を語るのに説得力がない」と黒づくめのファッションから着物姿に変身、コテコテの関西弁も落語の師匠に付いて東京言葉に改め、現在メディアで視聴する浮代さんになりました。

「とにかく動く」うち、またも良縁を得ます。飛鳥新社の編集長畑北斗さん。ムツゴロウこと畑正憲さんのおいで、自己啓発の大ベストセラー「夢をかなえるゾウ」を世に出した人です。当時は無名に近い蔦重をどう描くか。畑さんから示された方向は「自己啓発書・ビジネス書としても役立つ小説」でした。
それから2年。浮代さんは、経営者ら成功した約50人にインタビュー。さらに自己啓発のプロで、浮代さんが「女蔦重」と呼ぶいつかさんの教えを蔦重の軌跡に重ね、人物像を構築していきました。

こうして書き上げたのが、実用エンタメ小説『蔦重の教え』です。叱咤激励のセリフが奥深く、2014年からの売り上げは文庫を含め7万部。実績が引き寄せたたように、2023年、NHKが蔦重の大河ドラマ化を発表しました。
浮代さん、怒とうの執筆の始まりです。

次回はその作品群を取り上げます。

 

事務局日誌 2025年2月28日(金) ◆卒業式◆在校生の認知度

◆卒業式
2科1教室、計295人の卒業式に会長として臨みました。緑友会に関わっていなかった私がいきなり就任した年の入学生。コロナ禍による将来不安で芸能文化科生が定員の半分しか集まらないなど、環境激変の中でスタートした学年です。
以来、「日常」を取り戻せるかハラハラと見守ってきました。
けれどこの日、答辞の女生徒2人が振り返ったのは、大笑い、大泣き、大ゲンカをした青春の日々。出会った仲間、支えてくれた人々への感謝とともに、これまでと変わっていませんでした。
「ン?」と思った点は一つだけ。「行事と定期試験に追われた日々」というくだりです。私たちのころは「行事から行事へと追われた日々」だったような……。

◆在校生の認知度
式には生徒会などの在校生も10人ほど参列していました。学校行事で見た顔が多かったので、「また何かしょうな」と声をかけたら、「ハイッ!」と笑顔の返事。こちらが何者かを名乗らずとも、緑友会の人だとわかったようです。
将来、会を支えてくれるかもしれない若者たち。会の認知度を高めるためにも、「また何か」をしようと思いました。

(以上、川本)

事務局日誌 2025年2月27日(木) ◆緑友会入会式◆新入会員へのテストメール◆ビートボクサー、大教大に合格

◆緑友会入会式
普通科68期、芸能文化科30期、共生推進教室3期、計295人の入会式を、卒業式の予行の合間に体育館で行いました。
会長あいさつでは、NHK大河ドラマの主人公「蔦重」の本を7冊出している車浮代さん(普通科26期)からメールで届いた「生徒に贈る蔦重の言葉」も披露しました。
「何事も経験。経験を積んで天分を見極め、社会に貢献する。それがこの世に生をうけた意味ってもんだ」という大意。新刊『蔦重の矜持』の一節でした。
(車さんについては近日、「会長だより」で紹介予定です。)

◆新入会員へのテストメール
事務局から夕方に一斉送信しました。データを、システム入力ではなく手書きで寄せた生徒が70人ほどおり、事務局スタッフが手入力。このメアドが正確か確認するためです。
入会式の場を借り、口頭と案内文で実施を周知。「広報電子化による会の財政改革」という目的も説明しました。
着信のなかった人は、メールなどで事務局に連絡される手はずです。

◆ビートボクサー、大教大に合格
昨年9月のみどりホールこけら落としで妙技を披露した3年生のビートボクサーに入会式で会いました。「第一志望の大阪教育大に進学決定」だそうです。
おめでとう! 先生になって母校に帰っておいで!

(以上、川本)

 

 

 

 

事務局日誌 2025年2月26日(水)

◆事務局日誌スタート
事務局の出来事や活動の様子をホームページでお伝えすることになり、本日、投稿手順のレクチャーを会長から受けました。
事務局が卒業生のみなさんにとって、身近な集いの場所になり、楽しいご報告を発信できればと思っています。(しばたに)

◆島本先生来局
昨年退職された島本一彦先生(本校普通科21期生、社会科)が来局されました。
現在は男子バレー部の部活指導者(監督)をされています。
会長や事務局スタッフと、今後の綠友会をどう盛り上げるか、学校支援に何が必要かなどについて意見を交換。在学中の懐かしい話もできて楽しいひとときでした。(しばたに)


島本先生(左)と歓談するスタッフら

◆後輩の練習を見
高校時代にマネジャーをしていた男子バレー部の練習を、来局した同期の島本監督と見に行きました。
我々の頃は1学年6人ほどでしたが、今や総勢40人はいてるかな。マネジャーも4人いて練習にも参加してました=写真。
近畿大会目指して頑張ってね。応援してます。(くりべ)

吹奏楽部 第48回定期演奏会が開催されます。

【ご案内】
本校吹奏楽部、本年で48回を数える定期演奏会が開催されす。
日時:2025年3月9日(日)
会場:校内 芸能文化棟ホール
開場:13:30   開演:14:00

入場無料ですが座席に限りがありますので事前に参加ご予約をお願いします。
ご予約の方法はここから開く申し込みフォームで手続きをお願いいたします。
または、以下に表示した案内ポスターのQRコードを読み取り、開いたフォームからお願いいたします。
皆様のご来場をお待ちしております。

初めての硬式野球部OBOG会、開催報告。

12月28日、初めての硬式野球部OBOG会を開催しました。
硬式野球部創設1期生(57期)から昨年度卒業の11期生まで、総勢60名を超える方々に参加して頂きました。

前半は現役硬式野球部員と共にノックを受けたり、ソフトボール大会を3面で行いました。
歴代の監督、部長先生にもお越し頂き、久々の再会となった人も多かったと思います。
野球部1
後半はみどりホールを利用させて頂き、硬式野球部OBOG会総会を開催。
東住吉高校硬式野球部を更に充実したものとしていくため、OBOG会の設立に至りました。
久しぶりの母校訪問で、様変わりした食堂にびっくりしている人が多かったです。
寒いこの時期に、空調が効いて温かい部屋へ靴を履き替えずに利用出来る施設は、大変有難く思いました。

最後になりますが、グラウンドの準備設営・後片付けをして頂いた現役硬式野球部員の皆さん、
みどりホールでOBOG総会会場の準備や、年越しそばを準備して頂いた現役硬式野球部員保護者の皆さん、大変お世話になりました。
有難うございました。

32期写真部 伊藤

会長だより ㉟ 予言の自己成就

(2024年12月28日)

予言の自己成就

緑友会長 川本正人(普通科21期)

みどりホールに27日、追加発注の可動舞台5台が届きました。2日遅れのクリスマス、お年玉より5日早いプレゼントです。贈り主は普通科12期の有志ご一同。11月の創立70周年記念式典のあと、緑友会前会長の坂田繁数さんが同期LINEで寄贈を呼びかけ、半月後の今月初めに製作費40万円をご入金くださいました。

追加で届いた可動舞台(5台積んだ状態)

学校食堂を改修したホール事業では、今夏の着工前後に老朽建物のあちこちで危険個所が見つかり、対策費捻出のため設備や備品の整備を一部先送りしていました。可動舞台もその一つ。壁付けカウンター席の下に5区画、2台ずつ立てて計10台収納する予定だったのに、半分しか用意できませんでした。

5台で足りないことは、9月の文化祭に合わせたこけら落としで即、明らかになりました。舞台はそれぞれ1.88㍍×92㌢×高さ15㌢。公演する生徒たちが4台を2段重ねで横長に設置したところ、奥行きが狭くてマイクが立てにくく、漫才では前後の動きもままならなかったのです。残る1台で緑友会が設けた「街角ピアノ」もイスが置けずに立ち演奏。生徒や卒業生の熱演がすばらしかっただけに、本当に申し訳なく、「必ず整備する」と心に決めた次第です。

坂田さんからはこの10月、「同期生でピアノを寄贈したい」との申し出をいただいていました。しかし学校から「使う機会が多くないので」と辞退され、改めて私に「必要なモン、ないか?」。そこで先送りした案件の数々を説明し、「ホールとして機能させるには、まず舞台」とお答えしていました。ご無理のないようにと申し上げていたのですが、動きの速さはさすが! 頭が下がります。

製作は、ホールの設計・施工監理を無償で引き受けて下さった一級建築士の木本圭二さん(普通科24期)に依頼。出し入れや持ち運びに支障があった既設5台にも、持ち手穴や滑り材の加工をしてもらいました。こちらも仕事が速い!

そうそう、着工直後にメインの梁(はり)で見つかった構造クラック(危険な亀裂)についてもお知らせします。直径28㌢の鋼柱で下から支えることになり、20日に入札が行われました。年度内に施工の予定です。ホールのある緑友会館の屋上防水や階段塗装なども行われると聞いています。
これらの仕様・見積書を手がけてくださったのも木本さん。落札したのは別業者ですが「工事は見に行きます」。これまた頭が上がりません。

「予言の自己成就」という社会心理の概念があります。根拠の希薄な話でも、人々が起こりそうだと考えて行動することで、本当に実現してしまうことです。最初に信じた人が実現に向けた言動をする。見聞きした人が影響を受ける。そうした人々の行動でさらに多くの人が動くーーというメカニズム。ホール事業はまさにこれでした。

2年前、緑友会がホール化を言い始めた時は「できるんかなあ」と懐疑的な雰囲気。それがスタッフの本気度を見て木本さんや後援会「みどり会」のような助っ人が次々に現われ、それがさらに大勢の共感を呼んで成功確率が上昇。緑友会に寄せられた浄財は2年足らずで2246件、1058万円。落語家の林家染二師匠ら卒業生9人そろい踏みの記念公演もこうした流れの中で実現しました。

予言の自己成就には、銀行の取り付け騒ぎやトーレットペーパーの買いだめなどを引き起こすマイナス面もありますが、70周年事業ではさわやかな方向に働きました。皆様、本当にありがとうございました。

2年間がギュッと凝縮されて脳裏を巡るこの歳末。70周年事業ですそ野が広がった緑友会へのご理解・ご支援を、どのようにつなぎ、発展させていくか。新年の課題です。

「もしドラ」で広く知られたドラッカーの「マネジメント」に次の一節があります。
<組織が存在するのは、社会、コミュ二ティ、個人のニーズを満たすためである。組織とは、目的ではなく手段である>

ニーズを満たし、皆様のご多幸に結びつく次の「予言」、見つけます。
来る年も緑友会を、どうぞよろしくお願いいたします。

改修で昼食時のにぎわいが復活
右奥の壁面下部に舞台を収納

56期生 30歳記念 同窓会を開催します。

56期同窓会を以下の要領で開催いたします。

日時:2024年12月29日(日) 18:00〜21:30
場所:FUN SPACE DINER
〒556-0004
大阪府大阪市浪速区日本橋西1-3-26
南海線 難波駅 徒歩4分
地下鉄 御堂筋線 千日前線 なんば駅 徒歩10分https://www.funspacediner-studio.com/access

会費:7,000円

参加人数は先生方7名を含め約150名(12/11現在)。
ご参加お待ちしております。

お問い合わせは
miaryu_rino@yahoo.co.jp
070-4480-0853
山﨑 美愛璃まで