私たちはいろんな仕事で頑張っています
ステージをデザインする
追上 真弓(おいがみ・まゆみ 芸能文化科3期)
舞台照明家とは、演出家の思い描くものを、光を用いて舞台上に空間デザインする役割を持つ人です。
劇場の客席から帰られるお客様の満足げな表情を見ると、ああよかったと公演の都度に思います。
この職業についたきっかけは、いくつかありますが、芸能文化科の鑑賞授業で、様々な劇場に足を運び作品に触れた折、客席から見えない場所で動いている裏方スタッフさんがいることで華やかなステージを支えているのだなあと感じたことです。
まずステージの裏方という世界に興味を持ちました。
その中で舞台照明を選択した理由は、単純ですが、自らデザインをしてみたい想いが強かったからだと思います。
10代の頃にiPhoneやiPadが手元にあれば、また違った人生になっていたかもしれません。
現在私は自分のデザインの現場を年に数本いただいており、それ以外のスケジュールは他のデザイナーさんのアシスタントとして劇場に入ることも多いです。
新しい演出方法や照明機材と対面する機会も多く、日々勉強は続きます。
■業種の魅力
舞台照明の世界は本当に奥が深いです。
照らせといわれて、ただ闇雲に舞台を照らせばよいわけではありません。
例えるなら、
オーダーのあったメインのお料理のお皿に何を添えるか・・・?
みたいなことが試されます。
舞台照明で使用する照明器具はスポットライトといいます。
その中にも様々な種類が存在します。
重い器具、軽い器具、壊れやすい器具、様々です。
ビームを出すのに優れた器具、まんべんなく照らすのに優れた器具、光の模様を映せる器具とそれぞれの特徴があります。
そのスポットライトを目的に応じて選択し、まとめた設計図のようなものを照明家は書きあげます。
これが仕込図です。
上演する演目によって仕込図は変わりますし、同じ演目でも会場ごとの設備に合わせますので、その場合は新しい仕込図になります。
この仕込図を元にしてチームで設置作業を進め、照明器具の向きや大きさを調整するフォーカス作業を行い、リハーサル・本番に臨みます。
実際の公演中に照明を制御するシステムはデジタル制御がほとんどです。
テンキーを正確に速く打てる、プログラミングやったことのある人は経験を活かせると思います。
公演期間が終われば、仕込みと逆の作業の撤去作業を行います。
終わりが遅い時間になることもあります。
舞台照明家は公演が終わるまで、より良くする方法はないか?と舞台を観察しています。
■楽しさややりがい
他セクションの方と情報の交換をするようにしています。
舞台の展開に合わせてよりぴったりに照明を操作するために、人の動きを細かく読み取る能力が身につきました。
また、新しい照明機器は世界中から次々と発売されるので、楽しみでもあります。
特にLED化されてからは、多様な機能を持った機器が登場しています。
■苦労していること
2020年。新型コロナウイルスが蔓延し、緊急事態宣言が発出された際はご存じの通り、全国で舞台公演・イベント公演は中止となり、出演者・カンパニーだけでなく我々スタッフ業界も大きな影響を受けました。
一方では、オンライン配信公演などの新しい試みが生まれ、現在は感染者数も落ち着いて、文化庁の支援のおかげで公演数はかなり戻ってきたように感じます。