(2024年12月28日)
予言の自己成就
緑友会長 川本正人(普通科21期)
みどりホールに27日、追加発注の可動舞台5台が届きました。2日遅れのクリスマス、お年玉より5日早いプレゼントです。贈り主は普通科12期の有志ご一同。11月の創立70周年記念式典のあと、緑友会前会長の坂田繁数さんが同期LINEで寄贈を呼びかけ、半月後の今月初めに製作費40万円をご入金くださいました。
追加で届いた可動舞台(5台積んだ状態)
学校食堂を改修したホール事業では、今夏の着工前後に老朽建物のあちこちで危険個所が見つかり、対策費捻出のため設備や備品の整備を一部先送りしていました。可動舞台もその一つ。壁付けカウンター席の下に5区画、2台ずつ立てて計10台収納する予定だったのに、半分しか用意できませんでした。
5台で足りないことは、9月の文化祭に合わせたこけら落としで即、明らかになりました。舞台はそれぞれ1.88㍍×92㌢×高さ15㌢。公演する生徒たちが4台を2段重ねで横長に設置したところ、奥行きが狭くてマイクが立てにくく、漫才では前後の動きもままならなかったのです。残る1台で緑友会が設けた「街角ピアノ」もイスが置けずに立ち演奏。生徒や卒業生の熱演がすばらしかっただけに、本当に申し訳なく、「必ず整備する」と心に決めた次第です。
坂田さんからはこの10月、「同期生でピアノを寄贈したい」との申し出をいただいていました。しかし学校から「使う機会が多くないので」と辞退され、改めて私に「必要なモン、ないか?」。そこで先送りした案件の数々を説明し、「ホールとして機能させるには、まず舞台」とお答えしていました。ご無理のないようにと申し上げていたのですが、動きの速さはさすが! 頭が下がります。
製作は、ホールの設計・施工監理を無償で引き受けて下さった一級建築士の木本圭二さん(普通科24期)に依頼。出し入れや持ち運びに支障があった既設5台にも、持ち手穴や滑り材の加工をしてもらいました。こちらも仕事が速い!
そうそう、着工直後にメインの梁(はり)で見つかった構造クラック(危険な亀裂)についてもお知らせします。直径28㌢の鋼柱で下から支えることになり、20日に入札が行われました。年度内に施工の予定です。ホールのある緑友会館の屋上防水や階段塗装なども行われると聞いています。
これらの仕様・見積書を手がけてくださったのも木本さん。落札したのは別業者ですが「工事は見に行きます」。これまた頭が上がりません。
「予言の自己成就」という社会心理の概念があります。根拠の希薄な話でも、人々が起こりそうだと考えて行動することで、本当に実現してしまうことです。最初に信じた人が実現に向けた言動をする。見聞きした人が影響を受ける。そうした人々の行動でさらに多くの人が動くーーというメカニズム。ホール事業はまさにこれでした。
2年前、緑友会がホール化を言い始めた時は「できるんかなあ」と懐疑的な雰囲気。それがスタッフの本気度を見て木本さんや後援会「みどり会」のような助っ人が次々に現われ、それがさらに大勢の共感を呼んで成功確率が上昇。緑友会に寄せられた浄財は2年足らずで2246件、1058万円。落語家の林家染二師匠ら卒業生9人そろい踏みの記念公演もこうした流れの中で実現しました。
予言の自己成就には、銀行の取り付け騒ぎやトーレットペーパーの買いだめなどを引き起こすマイナス面もありますが、70周年事業ではさわやかな方向に働きました。皆様、本当にありがとうございました。
2年間がギュッと凝縮されて脳裏を巡るこの歳末。70周年事業ですそ野が広がった緑友会へのご理解・ご支援を、どのようにつなぎ、発展させていくか。新年の課題です。
「もしドラ」で広く知られたドラッカーの「マネジメント」に次の一節があります。
<組織が存在するのは、社会、コミュ二ティ、個人のニーズを満たすためである。組織とは、目的ではなく手段である>
ニーズを満たし、皆様のご多幸に結びつく次の「予言」、見つけます。
来る年も緑友会を、どうぞよろしくお願いいたします。
改修で昼食時のにぎわいが復活
右奥の壁面下部に舞台を収納