会長だより

会長だより ㊵ えびす柱

(2025年3月29日)

えびす柱

緑友会長 川本正人(普通科21期)
 
創立70周年記念事業実行委の会計監査・糸井利則さん(普通科23期)から昨日夕、会計チェック完了の報告が、押印した決算書の写真とともにLINEで送られてきました。
着工直後に損傷が発覚した「みどりホール」のメインの梁(はり)も先月末、緑友会の提案通り、直径28㌢の丸鋼管で下から支える方法で施工完了。
人気番組「プロジェクトX」ならぬ緑友会の「プロジェクトR」が大団円を迎えました。
記念事業の収支と経過はこちら。パソコンからが見やすいです。
 
今年度の一連の事業で「緑友会が一番誇れるものは?」と問われたら、私はこの補強柱を挙げます。人々の安全を第一に考え、あきらめずに行動した結果だからです。
 
補強の丸柱(右)。奥の中央柱とともにホールを支える。

少し振り返ります。
学校食堂のホール化着工から3日目の昨年7月12日。天井を撤去して現われたコンクリート梁は、南北12㍍の下部全面がかき削られ、鉄筋がろっ骨のように浮き出ていました。そして見つかったのが、建物の強度を著しく損ねる「構造クラック」(危険な亀裂)。東西の梁と交差する建物中心近くにありました。
「大地震に耐えられない可能性が高い」
それが設計・施工監理を無償で担ってくれた一級建築士(普通科24期)の判断でした。
当時の記事はこちら
 
足りない資金、迫る工期、相次いで見つかる老朽建物の危険個所、それらをクリアした先に待っていた難問。
府教委が示したのは、「鉄筋にさび止め、クラックにモルタル注入」という〝骨折に赤チン〟のような補修方法。しかも「やるならそちらで」。府教委が言う以上、学校側にとってもそれがファイナルアンサーでした。
 
けれど命に関わる問題です。何もなかったことにはできません。府も学校も手を付けないなら、緑友会が資金を集めて対策を講じるか、PTAや地域団体まで巻き込むか……。
緑友会のスゴいのはここからです。そんな相談をして回る私に、複数のスタッフが言ってきたのです。
「府教委と話せるよう、ちょっとツテに当たりますわ」
彼らはそれぞれ、本当に府教委に働きかけ、8月末、緑友会との直接交渉にこぎ着けてくれました。
 
完成間近のホールに来られた府教委の3人は率直でした。「どれだけ危険なのかわからない」「どれだけ対策が必要なのかも答えがない」。もっともなお悩みだと思いました。
それでもこちらからは「施工監理している一級建築士は『危険』と判断している」「わからないから『何もしない』ではなく、『どこまでできるか』を検討いただきたい」と訴えました。
 
この時、私が言い添えた言葉があります。
「お金がないのはわかります。けれどこのホールから、いずれビル・ゲイツなみの納税者が出ます」
冗談と思われたようですが、私は本気でした。3か月後の創立記念式典あいさつで触れることになる「レオナルド・ダ・ヴィンチの手記」を、その夏読んでいたからです。
式典あいさつはこちら
 
500年前の万能の天才は、手記の中で自身を「経験の弟子」と呼んでいます。観察し、触り、実験し、デッサンし、文章にして考え抜く。五感の全てで対象にのめり込む。経験が知識に勝ることを、手記は示していました。
 
私たちが目指したのは、きれいな食堂ではありません。「経験」を伝統とする母校の砦としてホール化しました。
だからきっぱり、「ここからビル・ゲイツが出る」のです。
 
浄財で行われたホール整備や危険個所の改修に心を動かされたのか、ひょっとしたら謝意の気持ちも抱かれたか。
最後におっしゃったのは「対策案を示してもらえれば、こちらも検討しやすい」でした。
 
緑友会が学校を通じて示した案が補強柱。安価で工期も1週間程度です。
府教委と学校はこれをもとに、屋上の防水工事や緑友会館の手すり塗装まで含めて入札し、2月下旬に施工。計120万円でした。
 
大黒柱に次いで重要な柱を「えびす柱」といいます。
皆さんにとって一番大事な柱ではありませんが、緑友会もホールの補強柱のように、会員や母校の「えびす柱」でありたい。
そう願って新年度に臨みます。