会長だより ㉙ やりくり賛歌

(2024年8月2日)

やりくり賛歌

緑友会長 川本正人(普通科21期)

 

母校食堂のホール化工事は8月25日までの46日間。本日が折り返し点です。「着工したのだから、もう安心でしょう」、よくそう声をかけられますが、実際は今も計画を修正中。理由は老朽建物のほころびと資金不足。問題が起きると優先順位を組み替え、他の部分から予算を回しているのです。構想が浮上した1年半前からその繰り返し。けれど不思議なことに、その都度ヒーローが現れて前に進んでいます。

創立70周年記念事業実行委への寄付額は、後援会「みどり会」750万円、PTA 500万円、緑友会500万円(追加を予定)の1750万円。このうち記念公演費などを除いた1650万円が現在の改修予算です。皆様からのご支援金で、どこまでできて、何ができないでいるか。今回はその辺りを整理します。
経費削減2

改修費の変遷をざっくり見ると、

①最初の見積もり6000万円(いきなりトドメかい!)

②施工範囲を絞った半年前のコンペ(設計競技)では2000万円(心が折れそう!)

③金額勝負とした今春の入札で1617万円(やっと契約できた!)

④事前調査で判明した危険個所の改修など追加工事の見積もり430万円(何でそうなるの?)

⑤着工後に梁の損傷が見つかり、補強した場合を見積もり中(……絶句)

これらの陰で様々な計画修正があるわけです。①は通路など外周りの美化やイス、テーブルの新調込みでしたが、②のコンペではカット。緑友会役員らの呼び掛けに応じた業者2グループが食堂内部の改修を中心に魅力ある提案をしてくれました。しかし目安に示した1400万円を大幅に超過。おまけに既存の電源では空調動力を賄えないと指摘され、電力引き込みに200万円近くかかることになって、コンペは予算不足で不成立。

けれど立ち止まる猶予はありません。関電による引き込み工事には申請から2か月半。前年から深刻化している電線ケーブル不足にもハラハラ。夏休み中の施工には「業者即決」が絶対条件でした。

急きょの入札。ここで救世主となったのは、ボランテイアで全体監理を申し出てくれた一級建築士の木本圭二さん(普通科24期)。最適な設計や資材、手順、各部工事の最低必要金額などを、あっという間に一覧表にし、おかげで計4業者による入札が実現。厨房空調や、通路・藤棚・手洗い場の化粧直しまでもが予算内で施工できることになりました。

ところが難は続きます。直面しているのは④の追加工事費430万円。皆様のご支援が継続されると信じても、賄えるのは半分です。

基本工事や危険個所改修は外せません。大きく削れるのは「多目的ホール化」に向けた機能面。4か所の壁付け型プロジェクターは全て断念しました。2017年に緑友会などが全教室に寄贈し、現在取り外されている機器を再利用する予定でしたが、壁の補強や遮光カーテンに100万円以上。いつの日か据え置き型で実現できるよう、今夏は電源整備や一部天井の補強までとします。

舞台の台数も削りました。壁際に設けるカウンターの下に、1畳程度、高さ15㌢の可動舞台を10台収納できるのですが、これを6台にとどめ、35万円分を減らします。

一方、ホンマかいなの朗報もありました。機能面を補おうと音響機器の見積もりを手配中、またも助っ人が現れたのです。緑友会事務局にひょっこり来られた高山愛二さん(普通科25期)。何のお話かと思ったら、

「家に100㍗のスピーカーがあるねん。高さ90㌢くらいのデカいやつ。キャスター付きで一対。どこかで使ってもらえんやろか」‼

あなた、私の心が読めるん?

「せやせや、ミキサーもあったな。あれもどやろ」‼

やっぱり読めるんや‼

さて、前回取り上げた「梁」問題。ホームページにアップして5日後の先月24日、府教委の一人が再度現地に来られました。複数の緑友会スタッフが働きかけてくれたのです。私から「安全性について府教委の見解を文書でいただきたい。工事を監理する一級建築士と府教委との認識に差がありすぎ、安全か危険か、対策が必要か不要か判断できない」と申し上げたところ、その場で承諾。その後、「上席にも伝え対応を検討中」とのメールも届きました。

あすはパリ五輪も折り返し日です。開会式を締めくくったセリーヌ・ディオンの鬼気迫る「愛の賛歌」の録画を再生し、闘病する彼女や、仲間との絆で活躍する日本選手団のキーワード「諦めない」を心に染みこませて、後半に臨みます。

会長だより ㉘ 「安全第一」の覚悟

(2024年7月19日)

「安全第一」の覚悟

緑友会長 川本正人(普通科21期)

わかっちゃいるけど悩ましい。そんな言葉に「安全第一」があります。もとは「品質第二」「生産第三」との3点セット。「迷ったら安全最優先」を徹底させる標語です。

けれど実際は、「安全といっても、予算がなあ」と悩む場面がしばしば。創立70周年記念の母校食堂改修事業もそう。建物完成から61年余り。老朽化による危険個所が次々と見つかり、そのつど追加費用が必要になっているのです。

これまでは工事方法の見直し、ホール化設備の先送りにより、皆様からの浄財の範囲内で「安全第一」を貫く見通しを立ててきました。最大200万円の追加支出についても、緑友会役員9人から反対意見はなく、むしろ「当然」と積極的。

原則からブレない役員やスタッフを、改めて誇りに思った次第です。

さて、食堂改修着工から3日目の12日、また危険個所の知らせがありました。「天井を撤去したら、メインの梁(はり)の下部が削られていた。亀裂も入っている。大地震に耐えられない可能性が高い」

建物を支える骨組みが人の手で損傷⁉ もはや内装改修のレベルを超えており、学校から府教委に相談。返ってきたのは「補強したいならやっていただいてもいい」と、こちらに対応を委ねる答えでした。

今回の食堂改修事業について「なんで公費でやらないの?」というご質問が時折寄せられます。全く同感です。けれどそれでは何も進まないのが現状。ではどうするか。今回はそれを考えるご報告です。

食堂中央の梁(上)。下部がかき取られ、鉄筋が浮き出ている。(2024年7月)


問題のコンクリート梁は、食堂中央に渡されている南北12㍍の重要構造物。下部が全面的にかき取られ、鉄筋がろっ骨のように浮き出ています。建設当時に天井の高さを確保しようと数㌢削ったらしく、今なら建て直しを命じられてもおかしくないケース。さらに、東西の梁と交差する1か所に割れ幅1㍉以上の亀裂もありました。強度を低下させ、安全性を損なう「構造クラック」です。

知らせてくれたのは、工事をボランティアで監理している一級建築士の木本圭二さん(普通科24期)。すぐには問題ありませんが、大地震に見舞われたら梁が亀裂から曲がり、2階の床が垂れ落ちそうとのことでした。

すぐ学校に報告。17日には現場で対応を協議し、翌夕(昨日)には建物を管理する府教委の担当3人が来校。そこで示されたのが「鉄筋にさび止め」「クラックにモルタル注入」という補修方法。まるで骨折に赤チンみたい。しかも費用はこちら持ちという「提案」でした。

危険個所の指摘は、これまでもコンペや入札で訪れた業者の皆さんからありました。主なものは3つ。①熱源と異なる位置にある落ちかけの厨房排気フード(空調導入で閉め切ると一酸化炭素中毒の恐れ、地震で落下の恐れ) ②年代物の分電盤(感電・漏電の恐れ) ③階段下のコンクリート床の地下空洞化(陥没の恐れ)です。ゼロ災運動で「安全第一」と並んでよく言われる「ヒヤリ・ハット」(事故手前)の状態。見つかったのを幸い、①②は食堂との同時改修を決定、③は学校に公費で直してもらいました。

梁はどうするか。木本さんの試案は「亀裂の下に柱を立てて支える」。柱を外部で製作すれば取り付けは数日、費用も100万円くらい。この程度なら府教委の意志次第、と期待していました。

けれど府教委は「そこまでしなくても」と消極的。察するに、他にもグレーゾーンの建物がたくさんある中、ここだけにおカネは出せない、という立場なのかもしれません。

危険度について、木本さんの見解は真逆です。

「府教委提案のさび止め、モルタル注入は外壁向きの補修。梁の補強にはならない」

「最近の建物ならともかく、食堂は耐震対応の弱い60年以上前の建物。鉄筋の材質、太さ、本数が十分でなく、老朽化も進んでいる。見た目より弱い」

「鉄筋はコンクリートと一体で威力を増す。むき出しでは強度が落ちる」

「大地震の際、生徒が揺れの間に逃げ出せるとは限らない。2階床の落下が落盤のように急激でなくても、死傷者が出る可能性はある」……。

私たちはここまで、「安全第一」の覚悟で来ました。子どもたちの笑顔、青春の時間、まして命は「プライスレス」だからです。

これを原点に、大人の責任を果たす道を探ります。

共生推進教室が七夕飾りを設置

七夕にむけて共生推進教室の生徒たちが笹飾りを作成し、下足室に設置しました。

7月考査中にも関わらず、多くの生徒たちが笹の前で立ち止まり、短冊に願い事を書いてくれました。

合計304枚の短冊には、「志望校に合格!」などの学業に関することや「恋人ができますように…」などの恋愛成就に関すること、また、健康や平和を願うものなど、高校生らしい願い事が書かれていました。

この笹は、25期生に高山愛二(たかやま・まなぶ)さんから緑友会に申し出があったものです。

3年ほど前から知り合いの方から笹を譲りうけ、近くの施設などに配っているとのことで、東住吉高校にも、と打診があり、教頭を通じ募ったところ、今回の活用につながりました。

共生推進教室のコーディネーター 竹村 有加先生からは「生徒のはりきりや一般生徒との交流など得られることも多くあり、今後の展開も期待される」との感想をいただきました。

緑友会広報スタッフ募集

卒業生を中心に構成されている緑友会は今や2万8000 人を越える会員を擁しています。
緑友会事務局では事務局と会員、母校と会員、また会員どうしの絆作りに向け、様々な 情報発信を行っています。例えば…

◆年に一度の会報誌「緑友会報」の企画制作、発送
◆緑友会ホームページでの情報発信
◆SNS(LINE、Meta、facebook、X) を活用した情報の受発信 などです。 今後はそれらの強化、特にホームページ、SNS では動画(YouTube)による情報の発信を積極的に行う計画です。
そこで今回は以下にご協力いただける OB、OG を募集いたします。

◆取材スタッフ:総会や緑友会主催のイベント、また体育祭、文化祭、100km チャリティーマラソンなどへ緑友会記者として動画撮影、静止画撮影、インタビューや記事の作成を行うスタッフ。
今回は特に食堂を多目的ホールに改修する工事の進捗状況を動画で追うドキュメントや 70 周年記念イベントの取材があります。
<撮影用機材は緑友会のものを使用していただけます>

◆編集スタッフ:動画の簡単な編集と YouTube へ投稿していただけるスタッフ

◆ホームページスタッフ:現在のホームページは全面リニュアルを予定しています。新しくなったホームページの情報更新を担当するスタッフ。

<WordPress にて構成予定ですので特別なノウハウは不要>
◆校正スタッフ:緑友会報の記事の校正作業を行うスタッフ

◆モニター:緑友会報やホームページへの感想や意見を寄せるスタッフ

その他、広報活動に興味がある、社会での経験を生かせそうとお考えのみなさま、事務局まで電話、メール、FAX , ホームページのマイページから、
さらに詳しい説明希望、相談希望、お問合せ、参加表明をお寄せください。

〒547-0033 大阪市平野区平野西 2-3-77 大阪府立東住吉高等学校 緑友会

TEL:FAX 06-6706-3133
Mail: info_ryokuyukai@yahoo.co.jp

毎週水曜日 午前10時〜午後3時 事務局開設

会長だより ㉗ さらば昭和の大天井

(2024年7月10日=学校食堂改修の着工日に)

さらば昭和の大天井

緑友会長 川本正人(普通科21期)

建物には年代を感じさせる部分があります。母校の食堂では「天井」。シミや反りのあるプツプツ穴の吸音ボード、360度首を回し続ける扇風機、ジージー・チカチカの蛍光灯……。窓がサッシになり、壁に耐震補強が施されても、見上げれば一面の昭和レトロです。

10日、その天井の撤去が始まりました。食堂を多目的ホールに改修する創立70周年記念事業の着工です。構想浮上から1年8か月。「よくぞここまで」と皆様のご支援に感謝しながら、この間何度も仰ぎ見てきた天井に「お疲れ様」と告げました。

思い返せばこの天井。事業の可否を決する懸念材料とキーパーソンを、同時にもたらしました。経過報告を兼ねてご紹介します。

取り外される食堂扇風機。4台とも別の所で再利用予定。床の板は張り替えられるテーブルの天板。

ホール化の発端は、一昨年11月に開かれた学校と緑友会との周年行事検討会。学校側から「食堂に空調設備がほしい。多目的に使えるようにもできないか」という案が出ました。未だに空調がなく、220平方㍍もあるのにほとんど活用されていない施設。着眼点はすごくいい。けれど「どうやって進めるの?」「いくらかかる?」と疑問符だらけです。

そこで緑友会役員のツテで3つの業者グループを現地に招き、個別にヒアリング。2000万円あれば基本部分は改修可とわかり、昨年6月の緑友会報で支援を訴えるとともに、後援会「みどり会」とPTAにも協力を求めて3団体共同出資体制を構築。本格的な改修案を求めて設計競技(コンペ)も催すことにしました。

こうして「資金」「設計」の二大課題の進め方は見えました。ところがこのヒアリングで、とんでもない懸念も示されました。撤去する天井の「アスベスト」です。耐熱・耐久性に優れ、高度成長期以降、国内で大量使用されましたが、解体時などに吸い込んで生じる健康被害が問題となり、2006年に製造・使用が全面禁止。含有建材の撤去や処分には細心の注意が必要で、かなりの費用と時間を要します。

学校食堂の建設は1962年。業者グループらは「古い建物ですからね。調べれば、アスベストがまず出ます」と妙にきっぱり。この「調べれば」がくせ者です。「調べないのも、アリ?」、私の中のヨコシマ君がささやきます。「もし出たら、おカネ要るで。食堂閉店の夏休み中に終わらんで。そもそも府教委が工事を許さへん」。けれどホールは子どもたちの集う場所。しかもことほぐべき記念事業。数日考えても代案は浮かばず、ヨコシマ君を叱り飛ばして調査を決めました。

とはいえ正式な検査結果をどうやって得るのか、いくらかかるのか、これまた疑問符だらけです。そんな昨秋、「ボクがやります」と名乗り出た人がいました。一級建築士でデザイン設計室を営む普通科24期生の木本圭二さん。「工事全体を監理できる人もいた方がいいですよ。ボク、ボランティアでやります」とどこまでも明るく積極的。費用、品質、施工内容、どれも何が妥当かわからない私たちにとって、本当にカッコいい白馬の騎士でした。

木本さんは、ヒアリングに応じてくださった業者グループの一人です。この日も工事やコンペの進め方についてご意見をうかがおうと学校にお越し願っていました。そんな私たちがよほど右往左往して見えたのでしょう。「緑友会の皆さんは無償で一生懸命。自分は60歳を超えた今まで母校のことは何もやっていない。コンペに出るより、今は自分に出来ることで母校にお返しする時」と思われたそうです。それからはコンペ、入札、追加計画で大奮闘。「天がこの人を遣わして事業を導いている」、私にはそう思えてなりません。

さてアスベスト。昨年11月、木本さんと二人で天井材の一部を削り、検査機関に送りました。1週間後にメール添付で届いた報告書。A4判3枚の中ほどにあった結果は「不検出」でした。

あれだけ出そうな話やったのに、なんで? 木本さんが思ってもみない理由を答えてくれました。「古すぎたんでしょうね。古すぎて、まだアスベストが使われてなかったんです」

もはや歴史的建造物⁉ さすが緑友会館! さすが還暦超えの大天井!

涙がにじんだのは大笑いしたせい。隠れてそっとぬぐいました。

6月30日開催、緑友会総会のご報告

梅雨の雨が心配される中、改修を控えた緑友会館の食堂において緑友会総会が開催されました。参加者は役員などを含めて約50名、会長のあいさつに始まり、新たに就任された西田校長からのごあいさつ、食堂改修の具体的な内容説明、来る11月に開催される創立70周年記念事業などについて、会員からの質問を交えながら全議題が滞りなく承認されました。ありがとうございました。
最後に見納めとなる天井の扇風機が写るよう全員集合の記念撮影を行い「2024年度緑友会総会」は終了。その後、同期の方々がテーブルを囲み、あちこちでミニ同窓会を楽しんでおられました。

9月に開催される文化祭では、食堂から「みどりホール」に生まれ変わった多目的ホールのこけら落としが予定されています。今回ご参加いただきました会員の皆様、ご友人をお誘いいただきお訪ね下さいますようお願いいたします。
※議事録は鋭意作成中、まとまった段階で改めてご案内いたします。

20期生 平井吟雪(勢津子)書道展覧会の知らせ

平井吟雪

卒業生支援の一環として「緑友会員が主催される2つの書道展」についてお知らせいたします。
◆ミニ書道展:7月2日(火)〜31日(水)奈良県橿原市「八木札の辻 交流館」
◆平井吟雪書道展:10月18日(金)〜23日(水)同「奈良県橿原文化会館」の2つの展覧会です。平井さんから「皆様の来館をお待ちしています」というメッセージをお預かりしています。
※詳しくは画像を拡大するなどでご覧ください。